日本3百名山ひと筆書き~Great Traverse3~|(36)羊蹄山~樽前山

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羊蹄山

10月18日、羊蹄山の裾野、比羅夫登山口手前にある蝦夷富士小屋を6時過ぎに出発。1合目までは樹林帯の中を緩やかに、2合目手前で風穴内にヒカリゴケを見つけました。さらに立ち枯れした木々には、天然のナメコがびっしり。楽しみながら2合目、3合目と順調に標高を上げていきます。木々の間から、眼下に倶知安の街や朝日を浴びるニセコアンヌプリ、紅葉した裾野が見えました。7合目から先は足元が滑りやすくなったためチェーンアイゼンを装着。8合目で辺りの灌木にはびっしりと霧氷が張り付いています。コースタイムの半分ほどのペースで9合目まで登りきります。背丈を超える木々はなくなり、ようやく太陽の光が目に届きました。振り返ると銀世界から、晩秋を感じさせる紅葉の裾野へと、季節の移ろいがはっきりと見え、山が作り出す世界に息をのみました。この後はペースを落とし、冬の到来を一歩一歩踏みしめながら今シーズン初の雪上歩行を楽しみました。出発から3時間半で外輪山へと到着。6年前の羊蹄山は思い切り楽しむことができなかったため、今回見る景色や外輪山の姿は初めての経験。旧小屋跡から時計回りで最高峰へと歩みを進めました。運よく山頂は風下となり、日差しを暖かいと感じることができます。山頂にはすでに数組の登山者が岩に腰を下ろして、景色を眺めています。同じように腰を下ろし、温かいコーヒーを飲みながら景色を堪能。山頂で1時半程過ごし、雲が増えてくる前に6年前と同じ喜茂別コースを駆け下りました。蝦夷富士とも呼ばれる羊蹄山の姿がいつまでも美しかったです。

樽前山

10月20日、6時45分に風不死岳登山口へと出発。静かな支笏湖畔を猛スピードで走り抜けるトラックに風情をかき乱されながらも、朝日を浴びる風不死岳が長い直線の先に見えました。樽前山を登るために、あえて風不死岳からの縦走ルートを選んだのは「多角的に樽前山を見てみたかった」から。山の大きさ、見え方の変化、植生の変化など、様々な角度から樽前山を登りながら感じたいと思います。今も激しく噴煙を上げる活火山を登るのは久しぶり。風不死岳山頂へと標高800メートルを一気に登ります。風不死岳からまるで異世界のような樽前山が視界に飛び込んできました。「うわースゴい!スゴい景色だ!想像以上だ」とこぼれます。朝日で輝く太平洋をバックに、無風の空と真っ黒い大地の真ん中の、今にも張り裂けそうな溶岩ドームから立ち上る噴煙。その光景を雲で太陽が遮られてしまうまで眺めました。ここから見た樽前山の姿が今日一番。20分ほど休憩し、曇天の中を樽前山へと少しずつ近づいていきます。7合目へと下る分岐点を境に木々がほとんどなくなり、見渡す限りの荒れ果てた大地のよう。黒々とした溶岩ドームを見上げながら、活火山へと本格的に足を踏み入れたことを実感。迫る溶岩ドームの迫力に、いつ噴火してもおかしくないと緊張感は高めです。西山へと登り返す前で、溶岩ドームに鬼の角のようなものを発見。見れば見るほど、鬼が住む岩山のように見えます。西山へ到着後すぐに樽前山神社奥宮へ。溶岩ドームの南側は4ヶ所から絶え間なく噴煙が上っています。風下に回り込むと、久しぶりに硫化水素の鼻を突くにおいが。参拝をした後は、最高峰東山へと再び登り返します。最後の登りはヘロヘロになりながら、5年ぶりの樽前山東山登頂。山頂には置き手紙があり、そこには10日ほど前に樽前山で三百名山全山登頂を達成されたと書かれていました。達成までにかかった期間は、なんと52年!ただただ驚きました。1時間後、雲が流れ東山から納得の景色を眺めることができました。まさに大満足の1日です。どこを切り取っても、素晴らしい1日。久しぶりに100点満点の登山となりました。

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