日本3百名山ひと筆書き~Great Traverse3~|スタート!
jROは、田中陽希さんの田中陽希さん「日本3百名山ひと筆書き~Great Traverse~」を
応援しています。
これからゴールまで陽希さんの日記から毎月1回ピックアップして情報をお届けします。
2018年1月
2018年1月1日、鹿児島県屋久島町安房(あんぼう)の海岸で、いつもとは違う輝きを放つ初日の出を見て、日本3百名山ひと筆書き-Great Traverse3~の旅への一歩を踏み出しました。不安と緊張でいっぱいだった日本百名山の旅から早くも4年の月日が流れました。
1月2日午前11時前に301分の1座となる宮ノ浦岳に登頂しました。360度に広がる大展望にまたひとつ感動。1年を通して雨が多く、山頂から海を見渡せることが数少ないこの山で、貴重な日に当たる事ができたことはかなりの幸運なことです。今回の旅のスタートを祝ってくれているような時間となりました。
大隅海峡
1月4日、冬の大隅海峡(おおすみかいきょう)へ挑むことへの緊張から眠ることができませんでした。漕ぎ出してからの1時間は、気持ちが落ち着くまで何度も深呼吸を繰り返しまし、スタートから3時間まではかなり順調でした。スタートから4時間ごろ経過したころ、風は7メートルほどとなり、波も大きく速かったため、2時間漕いでも景色の変化が無くなってしまいました。屋久島へ引き返すことも脳裏によぎりましたが、亀のようにジリジリと進んでいたので「我慢我慢あきらめるにはまだ早い」と言い聞かせ、漕ぎ続けました。日暮れギリギリの17時15分に、ようやく竹島の漁港に到着。9時間30分の我慢比べとなりました。
竹島での停滞
1月5日から2日間、海上のコンディションが整わないため、竹島で停滞をしました。そして1月7日朝7時半に開聞岳へ向けて漕ぎだしました。
漕ぎだしてすぐ、海の状況は予報通りでないことが分かりました。出発から1時間半経過した地点で(8キロ地点)思っていた以上に西に流されていたことが分かり、止む無く引き返しました。竹島の皆さんから「お帰り~」と笑顔で迎えられたことが僕に元気をくれました。
それから1週間が経った1月14日の朝、待望の海峡横断を再スタートさせる時が来ました!10日間の竹島生活で大変お世話になった漁師さんからは「前回よりも良さそうだね♪」と背中を押していただきました。スタートから6時間30分、無事に川尻海岸に到着。
冬の大隅海峡、10日間の停滞、旅の最難関、4年前よりも喜びは自然と大きくなっていました。
開聞岳でご来光
1月15日、夜明け前の4時に起床。昨日、海から近づく開聞岳を見上げ「明日は九州本島一座目、旅を続けることができること、再出発の門出として山頂から御来光を見よう」と決めていました。5時前、満天の星空の下登山口に向けて出発しました。
コースタイムは2時間半、急げば1時間ほどで山頂ですが、暗闇の中開聞岳の静寂に耳を傾けながらゆっくりと歩みました。7時前、山頂に到着。誰もいない開聞岳山頂からの御来光は貸し切りでした。
錦江湾横断
空気を入れて膨らませることにより乗ることができる超軽量のゴムボートをパックラフトといいます。今回の旅では水路を渡るためにシーカヤックのほかにパックラフトも使用することにしました。しかし膨らませるための道具を忘れてしまったため、口で膨らませることになり通常5分で膨らませることができるところを、20分ほどかけてやっとの思いで膨らましました。錦江湾を漕ぎだし36分で桜島へ到着。宿泊先で荷物を片付けて、夕食後に湯ノ平展望所まで走り、鹿児島市の夜景を眺めて、1日が終わりました。
高隈山地
1月19日、最初の三百名山の高隈山(たかくまやま)に登ります。高隈山は高隈山地の総称で実際に高隈山という山はなく、複数の峰が連なり一つの山を形成しています。そのため、僕も高隈山は縦走してこそこの山の魅力に気づけるのだと考えていました。コースは山岳会の方からの情報を元に、垂水(たるみず)市内から垂桜(たるざくら)登山口まで道路を行き、最初に最高峰の大箆柄岳(おおのがらだけ)を目指しました。大箆柄岳~小箆柄岳(おのがらだけ)~御岳~妻岳~二子岳~平岳~横岳のすべての山頂には、大小様々な祠があり、この山もまた古くから地域の人々にとっての神として崇められたのだと知ることもできました。
韓国岳
「真っ白に冠雪した韓国岳を見たい!」その思いからスケジュールを変更して、一度とけてしまった雪が再び韓国岳を包み込む日を待ち、1月24日いざ韓国岳へ! 1300メートルよりも上は木々に霧氷が張り付き別世界のようでした。雲に隠れていた山頂も昼過ぎには青空が広がり、青空に霧氷の韓国岳はさらに映えました。僕にとっては、嬉しい寒波となりました。
神が降りた高千穂の峰
今回で三度目となる高千穂峰へ。坂本龍馬も新婚旅行で這いつくばるように登ったといわれる足場の悪い急斜面を登り、えっこらえっこらと今までの思い出を頭に浮かべつつ山頂へ向かいました。2年ぶりとなる山頂は風もなく、南からの暖かな日差しを受けてゆったりとした時間が流れていました。NHKのカメラマンから「どうして神様はここに降りたのですかね」と聞かれた。考えた末、「360度遠く海までもよく見渡せて眺めがいいからではないですかね」と答えました。神様が天から降りてくるときに、天高く伸びていた高千穂峰が目に入り、気に入って降りたのかもしれないですね。
尾鈴山
地元の方に尾鈴山のことを聞くと、それぞれの町によって見え方が違うことを教えてもらいました。中でも川南町の人は鯨の背と言っていることが印象に残ります。また、九州中央山地から離れているため、丸っこい山並みは遠くからでも分かりやすく、尾鈴山が見えるとふるさとに帰ってきたと実感するそう。そう話してくれたおじさんは戦地から帰ってきた時に尾鈴山が見えて涙したと続けてくれました。1月29日、2年ぶりに尾鈴山へ登りました。