日本3百名山ひと筆書き~Great Traverse3~|(35)駒ヶ岳~ニセコアンヌプリ

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駒ヶ岳

10月6日、駒ヶ岳へ出発する朝。昨日はくっきりと部屋から見えていた剣ヶ峰が見えません。空はどんより、天気予報では今日の方がいいはずなのに。本格的な天候回復はお昼頃からの予報。回復を信じ、登山口を目指しました。活火山の駒ヶ岳は、5年前と同様に標高900メートルの馬の背までしか立ち入りが許されていません。六合目の登山口からわずか1時間ほどのコースタイム、距離は2キロ。カラ松林の中を徐々に標高を上げていくと、少しずつ眼下の景色が見渡せるように。先日歩いた小沼大沼を一望。周りの地質も少しずつ変わり、ゴロゴロとした溶岩質な石や岩が露出し始めました。カラ松林といえば、「落葉キノコ」。ナメコのように少しぬるぬるしています。カラ松の落ち葉の下から、食べ頃のキノコがかわいく頭を出しています。登山口には、出発から2時間で到着。10時から登り始めると、上空の雲は多いまま、30分程で馬の背直下です。あと標高差50メートルの地点で、カラ松を風除けにしながら、雲が晴れるのを待つことに。下山の時間を考えると待てるのは2時間。11時過ぎ、依然として状況は変わらず。それどころか、ポツポツと雨が降り始めました。傘を差してカラ松の陰に立ちながら雨が止むのを待ちました。12時半過ぎ、ようやく剣ヶ峰が顔を出してくれました。急ぎ足で馬の背へと登り、馬の背から間近でそそり立つ駒ヶ岳最高峰の剣ヶ峰を見上げることができました。待っていると隣の第二峰砂原岳も見ることが。眼下には太平洋を行くフェリーの姿も。下山後、森町中心部へと歩いていると、少しずつ山頂にかかる雲が取れて、剣ヶ峰や山の姿が変わっていくことに気がつきました。改めて山は様々な表情を見せてくれることを実感しました。

狩場山

10月9日、4時起床、朝の準備を済ませ5時過ぎに出発。まだ夜明け前、身震いしながら体を温めるべく走りました。朝日を浴びてうっすらとモルゲンロートする狩場山が美しいです。宿から登山口までは18キロほど。9時に吊り橋を渡り、真駒内登山口を出発。いきなりの急登で、早速息が切れます。朝食の影響か、お腹に力が入りません。いつもならヒョイヒョイ登っていけるのに…。どんどん調子が悪くなり、激しい腹痛に襲われて、足が止まってしまいました。日本一広大なブナ林を有する狩場山、見上げるとブナが黄色く色づき美しい、ですが腹痛の状況は悪化の一途。お腹に力が入らなくなると、これほどまでに脚の力が無くなるのかと思い知りました。30分ほど休憩し、だましだまし登り続けました。標高1,000メートルを超えても、笹や灌木の背丈は高く、何度も雪の重みで曲がった灌木を潜り抜けました。登頂予定の12時を過ぎて、今度はエネルギー不足に陥りました。数年前にアメリカでのアドベンチャーレースで、チームメンバーが同じような状況となり、苦しんでいたことを思い出します。空腹になり、無理やり補給すると予想通り数分後に激しい腹痛に襲われます。分かっていても補給しなくては、エネルギー不足で本当に動けなくなってしまう。整胃薬を飲んで、腹痛に耐えながら、南狩場を越えました。もっと早くから森林限界に達し、気持ちいい草紅葉や紅葉する低木の間を抜けていくかと思っていましたが、実際は南狩場を越えてから。山頂までのわずかな間だけが、至福の道のりです。親沼、子沼を過ぎ、出発から4時間半でなんとか狩場山山頂へ。山頂にいた時間だけ湧き上がる雲に包まれてしまいましたが、時間に猶予はなく、10分で下山を開始。下山は狩場山のコースで一番長い茂津多コース。距離は長くても急斜面ではなく緩やかに下っていく方がありがたい。西日に向かって歩き続けていると、ようやく薬が効き始め、標高が下がるにしたがって、腹痛も回復。ヘッドライトを灯しながらの下山も覚悟しましたが、最後は走ることができて、なんとか日没前の下山となりました。

ニセコアンヌプリ

10月17日、これから登るニセコアンヌプリはアイヌ語で切り立った崖がある山という意味。見返坂登山口への林道は紅葉真っ盛り。標高500メートル付近まで紅葉が下りてきたようです。標高800メートル付近まで一度登りきり、ニセコアンヌプリ山頂と五色温泉の分岐に出ました。いつもならそのまま山頂へと向かいますが、今回は五色温泉へ立ち寄り湯をします。登山途中に温泉へ入るのは意外にも初めてのこと。熱めで青みがかった湯に浸かり、これから登るニセコアンヌプリ山頂を仰ぎ見ました。長湯はせずサッと入り、再び服を着て登山口へ。この時期らしい落ち葉と霜が溶けてぬかるむ登山道を力強く登りました。山頂まではわずか2.5キロ、標高差は560メートル。タンタンと登れば1時間もかかりません。20分程で山頂が見えるところまで登り、山頂直前の谷間を見下ろすと、かなりの急斜面。もしかしたら、アイヌの人たちはこの谷を見上げて、ニセコアンヌプリと呼んだのでしょうか。広い山頂に初到着すると、目の前には280座目となる後方羊蹄山が堂々たる姿で鎮座していました。予想以上に山頂部が白い。到着した直後は見えていた羊蹄山の山頂部も、それから1時間以上雲に包まれてしまいました。再び晴れて太陽を浴びる羊蹄山が見られることを信じて、山頂で2時間、のんびりと過ごしました。ニセコアンヌプリから岩内方面にはニセコ連峰が続き、眼下は赤く染まる木々と、まだ青々とした笹のコントラストで美しいです。午後1時を過ぎ羊蹄山にかかっていた雲が晴れ、ようやく全容が見えました。午後1時半頃にニセコ比羅夫側へと下山を開始しました。

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