雲から山の天気を学ぼう|(95)大気が不安定な時の雲

  1. ホーム
  2. > 自救力
  3. > 猪熊隆之の雲から山の天気を学ぼう

3枚の写真は、いずれも2021年6月14日に見られた雲の変化です。前日の6月13日は大気の状態が非常に不安定で、1時間に100㎜前後の雨が解析され、記録的短時間大雨情報が出されたり、落雷が各地で相次いだりしました。

その不安定な様子は朝から雲に現れていました。午前7時には八ヶ岳にモクモクした雲が湧き上がり(写真1)、8時半には山頂を覆い尽くすほどの入道雲(写真2)。9時前にこのような雲が湧いているときは、大気がかなり不安定と言えます。

写真1 午前7時ごろの八ヶ岳の雲の様子

写真2 午前8時半ごろの八ヶ岳の雲の様子

その後、昼頃からは強い雨や落雷となりました。写真3を見ると写真の右側が暗く、雲底からは降水の様子も確認できます。雲の全体像は掴めませんが、左奥のわずかな青空から見える雲から察するに、この雲もモクモクした雲であったと思われます。

写真3 降水雲の奥にはモクモクした雲

この日は上空高い所に強い寒気が流れ込んだことで、雲がやる気を出してグングン成長しました。地上天気図だけでは判断できませんが、ヤマテンの専門・高層天気図の500hPa気温予想図や雷確率を使うことで、危険を事前に察知することが出来ます。

雲がやる気を出す条件については第38回、39回で詳しく解説していますので、参考にしてみてください!
第38回
https://sangakujro.com/?p=4114

第39回
https://sangakujro.com/?p=4180

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
※図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

山の天気予報のご案内

ヤマテンでは、「山の天気予報」というサイトで、全国330山の山頂予報を配信しているほか、主要な18山域では、具体的な気象リスクについての警戒事項、詳細な解説付の予報を発表しています。また、首都圏や関西近郊の低山など無料でご利用いただける山を設定しているほか、大荒れ情報や「今週末のおすすめ山域(毎週木曜日発表)」、各種予想天気図、ライブカメラ、ヤマレコの最新記録、通信環境が制限される登山中にストレスなく使用できる登山モードを設定するなど、登山者視点の気象情報を提供しています。ヤマレコアプリでも山の天気予報の一部機能を確認できるようになりました。詳しくは、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000012267.html にてご確認ください。

さらにGWや海の日、お盆、年末年始など連休期間の前には、スペシャル予報対象の山で5日間予報または週間予報を発表します。次回は、7月の海の日連休の予報を発表する予定です。皆様の登山計画を立てる際や、安全登山にぜひ、お役立てください。ご登録方法やサービスの詳細につきましては https://lp.yamatenki.co.jp/ でご確認ください。

ヤマテン動画講座(無料)配信中

新型コロナウィルス感染症予防のため、ヤマテンの「山の天気予報」サイトで見られる天気図の見方を動画配信しています。下記URLにてご視聴いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=VJ-MWg70LFI&list=PLMEQ1UAZdr6UQfU8W-lzlWUMc1Ajszs70

「空の百名山」を朝日新聞・長野県版などで連載中

過去の記事を下記、URLからご覧いただけます。
http://sora100.net/

ヤマテンオリジナル「観天望気」Tシャツにピンク、グレーが加わりました!

やまどうぐレンタル屋さんが運営するヤマトリップショップで、ヤマテンオリジナルグッズを販売しております。これまでは講習会や空見登山ツアーのみでの販売でしたが、オンラインでもご購入いただけることになりました!また、茅野市内の一部カフェや、やまどうぐレンタル屋新宿店でも販売します。このたび、観天望気Tシャツにピンクとグレーが加わり、カラーバリエーションが増えました!

ヤマトリップショップはこちら
https://yamatrip.com/shop/item/list/yamaten?fbclid=IwAR0nbpBkzRh7HMpgJp2ANv1umBDika4ZLufgEjORlMBkNaX2_nbfIYifaQY

ヤマテン オリジナル手ぬぐい

雲を学べる絵葉書セット

新刊のご紹介

猪熊隆之の新著「天気のことわざは本当に当たるのか考えてみた」が7月20日、ベレ出版より発売!

天気を予測できることわざ、知っていますか? 例えば「アマガエルが鳴くと雨」「ツバメが低く飛ぶと雨」「朝焼けは雨」「夕焼けは晴れ」「暑さ寒さも彼岸まで」「雷三日」などなど……。日本には、昔から言い伝えられてきた、天気に関することわざがたくさんあります。

「これらのことわざの根拠とは?」「本当に天気を予測することができるの?」といった疑問に、山岳気象予報士のパイオニアである著者が答えます!

よく耳にすることわざから、地域特有のもの、山や海で役立つもの、著者の経験から編み出したことわざまで、さまざまなことわざ・言い伝えを解説します! 気象に興味のある方、天気を自分で予測したい人、アウトドアが好きな方など必読の一冊です。

猪熊隆之(いのくまたかゆき)

国内唯一の山岳気象専門会社ヤマテンhttps://www.yamaten.net/の代表取締役。国立登山研修所専門調査委員及び講師。カシオ「プロトレック」開発アドバイザー。「山の日」アンバサダー。中央大学山岳部前監督。チョムカンリ登頂(チベット)、エベレスト西稜(7,700m付近まで)、剣岳北方稜線冬季全山縦走などの登攀歴がある。近年は、山岳気象を学ぶために、予報依頼の多い山に登っており、2019年にはキリマンジャロ(タンザニア)、チンボラッソ(エクアドル)、コトパクシ(エクアドル)登頂。2022年はマッターホルン(スイス・イタリア)登頂。また、多くの登山者に雲を見る楽しさを伝えるための「山頂で観天望気」企画を実施。
「マツコの知らない世界」、「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」「地球トラベラー厳冬 遥かなる利尻山」「にっぽん百名山」「石丸謙二郎の山カフェ」などテレビ、ラジオ出演多数。著書に、山岳気象大全(山と溪谷社)、山の観天望気(山と溪谷社)、山の天気にだまされるな(山と渓谷社)、山岳気象予報士で恩返し(三五館)。共著に山の天気リスクマネジメント(山と渓谷社)、安全登山の基礎知識(スキージャーナル)、山歩き超入門(エクシア出版)、登山の科学(洋泉社)。

  • ジローへの入会お申込みはこちら
  • jRO会員ログイン
  • 好きな山の絵を額縁つきですぐに買える!山の絵つなぐサイト by jRO
  • 会員特典