雲から山の天気を学ぼう|(86)雲海ができる仕組み

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この時期は、夜間晴れて風の弱いとき、盆地などで朝のうち、雲海が発生することが多くなります。高い山では年中見られる雲海ですが、この時期は、車やロープウェイ、リフトなど交通機関を使っていくことができる展望台でも見られるチャンスが多くなります。そこで、今回は雲海ができる仕組みについて書きたいと思います。

雲海とは、眼下に海原のように雲が広がっている状態のことで、雲海を見るためには以下のような条件が必要になります。

  1. 自分が雲より高い場所にいること
  2. 雲の上は晴れていること
  3. 雲が比較的広い範囲に広がっていること

それでは、これらの条件が揃うのはどんなときでしょうか?雲海ができる仕組みについて解説していきます。

雨が降らなくても、湖や川などがあると、それらから蒸発した水蒸気が雨の代わりになります。富士見パノラマリゾートや竹田城、備中松山城など雲海で有名な場所は、盆地を流れる川や湖がありますね。

最後に、雲海ができる気象条件をまとめてみましょう。

  1. 地面(海面)に近い高度の空気が湿っている(雨の後など地面から水分が蒸発するときや、暖かい海の上など)
  2. 展望台より下に、大気が安定している層があること。

雨の翌日に、高気圧に覆われて等圧線の間隔が広がっているとき、最低気温が平年より低くなるときはチャンス。雲海を知ると、雲海を見ることができる可能性が高まります。

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
※図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

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空気は目に見えませんが、雲は空気の状態を語ってくれています。雲の聞えない声に耳を傾けながら、楽しく山を登りましょう。皆様とご一緒できることを楽しみにしています。

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冬の霧ガ峰 ヒュッテみさやま泊  雲見トレッキング 2日間
日程:2024年1月20日(土)~21日(日)
企画・実施:毎日企画サービス(毎日新聞旅行)
集合場所:茅野駅
ツアーの詳細や申し込み方法は下記URLにてご確認ください。
https://www.maitabi.jp/parts/detail.php?t_type=&course_no=22681

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新刊のご紹介

猪熊隆之の新著「天気のことわざは本当に当たるのか考えてみた」が7月20日、ベレ出版より発売!

天気を予測できることわざ、知っていますか? 例えば「アマガエルが鳴くと雨」「ツバメが低く飛ぶと雨」「朝焼けは雨」「夕焼けは晴れ」「暑さ寒さも彼岸まで」「雷三日」などなど……。日本には、昔から言い伝えられてきた、天気に関することわざがたくさんあります。

「これらのことわざの根拠とは?」「本当に天気を予測することができるの?」といった疑問に、山岳気象予報士のパイオニアである著者が答えます!

よく耳にすることわざから、地域特有のもの、山や海で役立つもの、著者の経験から編み出したことわざまで、さまざまなことわざ・言い伝えを解説します! 気象に興味のある方、天気を自分で予測したい人、アウトドアが好きな方など必読の一冊です。

猪熊隆之(いのくまたかゆき)

国内唯一の山岳気象専門会社ヤマテンhttps://www.yamaten.net/の代表取締役。国立登山研修所専門調査委員及び講師。カシオ「プロトレック」開発アドバイザー。「山の日」アンバサダー。中央大学山岳部前監督。チョムカンリ登頂(チベット)、エベレスト西稜(7,700m付近まで)、剣岳北方稜線冬季全山縦走などの登攀歴がある。近年は、山岳気象を学ぶために、予報依頼の多い山に登っており、2019年にはキリマンジャロ(タンザニア)、チンボラッソ(エクアドル)、コトパクシ(エクアドル)登頂。2022年はマッターホルン(スイス・イタリア)登頂。また、多くの登山者に雲を見る楽しさを伝えるための「山頂で観天望気」企画を実施。
「マツコの知らない世界」、「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」「地球トラベラー厳冬 遥かなる利尻山」「にっぽん百名山」「石丸謙二郎の山カフェ」などテレビ、ラジオ出演多数。著書に、山岳気象大全(山と溪谷社)、山の観天望気(山と溪谷社)、山の天気にだまされるな(山と渓谷社)、山岳気象予報士で恩返し(三五館)。共著に山の天気リスクマネジメント(山と渓谷社)、安全登山の基礎知識(スキージャーナル)、山歩き超入門(エクシア出版)、登山の科学(洋泉社)。

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