雲から山の天気を学ぼう|(85)ひつじ雲→おぼろ雲、おぼろ雲→ひつじ雲 どっちが悪天の兆し?

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温帯低気圧や温暖前線が近づいてくるときには、すじ雲(巻雲)→うす雲(巻層雲)→おぼろ雲(高層雲)→雨雲(乱層雲)というように雲が変化していきました。詳しくは「第7回、天気が崩れていくときの雲<低気圧の北側と温暖前線偏>」 をご参照ください。

しかしながら、うす雲からおぼろ雲に変わる間に、ひつじ雲やうろこ雲が現れることもあります。この日は、写真1から2のように、ひつじ雲がおぼろ雲に変わっていきました。

写真1 ひつじ雲が広がる五色台(香川県)上空

写真2 おぼろ雲に変わっていく

一方、別の日には、これとは逆に写真3から4のように、おぼろ雲がひつじ雲に変わっていきました。さて、どちらの雲の変化が天候が悪化する兆しなのでしょうか?

写真3 おぼろ雲が広がる奥越高原(福井県)上空

写真4 ひつじ雲に変わっていく

答えは、その後の空の変化から見ていきましょう。
まず、五色台(香川県)の、写真2から1時間後の空です。

写真5 おぼろ雲の向こう(西側)に雨雲(乱層雲)が広がる

西の空から雨雲が広がってきて、雨が降り出しました。

一方、奥越高原(福井県)の方は・・・

写真6 西の空から青空が広がる

西の空から青空が広がってきました。
ということで、

おぼろ雲→ひつじ雲 天候が回復することが多い
ひつじ雲→おぼろ雲 天候が悪化することが多い

ということを覚えておきましょう。特にうす雲から直接おぼろ雲に変化せず、その間にひつじ雲が全天に大きく広がるときは、発達した低気圧や寒冷前線が近づくことが多く、うす雲からおぼろ雲に変わるときに比べて天候悪化の度合いが大きくなりますので注意しましょう。

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
※図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

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ツアーの詳細や申し込み方法は下記URLにてご確認ください。
https://www.maitabi.jp/parts/detail.php?t_type=&course_no=22681

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天気を予測できることわざ、知っていますか? 例えば「アマガエルが鳴くと雨」「ツバメが低く飛ぶと雨」「朝焼けは雨」「夕焼けは晴れ」「暑さ寒さも彼岸まで」「雷三日」などなど……。日本には、昔から言い伝えられてきた、天気に関することわざがたくさんあります。

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猪熊隆之(いのくまたかゆき)

国内唯一の山岳気象専門会社ヤマテンhttps://www.yamaten.net/の代表取締役。国立登山研修所専門調査委員及び講師。カシオ「プロトレック」開発アドバイザー。「山の日」アンバサダー。中央大学山岳部前監督。チョムカンリ登頂(チベット)、エベレスト西稜(7,700m付近まで)、剣岳北方稜線冬季全山縦走などの登攀歴がある。近年は、山岳気象を学ぶために、予報依頼の多い山に登っており、2019年にはキリマンジャロ(タンザニア)、チンボラッソ(エクアドル)、コトパクシ(エクアドル)登頂。2022年はマッターホルン(スイス・イタリア)登頂。また、多くの登山者に雲を見る楽しさを伝えるための「山頂で観天望気」企画を実施。
「マツコの知らない世界」、「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」「地球トラベラー厳冬 遥かなる利尻山」「にっぽん百名山」「石丸謙二郎の山カフェ」などテレビ、ラジオ出演多数。著書に、山岳気象大全(山と溪谷社)、山の観天望気(山と溪谷社)、山の天気にだまされるな(山と渓谷社)、山岳気象予報士で恩返し(三五館)。共著に山の天気リスクマネジメント(山と渓谷社)、安全登山の基礎知識(スキージャーナル)、山歩き超入門(エクシア出版)、登山の科学(洋泉社)。

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