雲から山の天気を学ぼう|(116)山を挟んで天気が異なるのはなぜ?

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山に登っていて、山の片側は晴れているのに、反対側は雲に覆われているってことありませんか?平地では、山を挟んだ両側の天気の違いを見ることができませんが、山の上にいるときは、このような光景が見られます。それでは、どうして山を挟んで天気が異なることがあるのでしょうか?

写真1 山を挟んで天気が異なるときの様子

1.水蒸気の量が山の両側で異なるとき
水蒸気を含んだ空気が上昇して冷やされると、水蒸気が雲粒に変わっていき、雲ができます。この水蒸気が山を挟んで片側に多く、片側に少ないと、山を挟んで天気が違ってきます。特に、山が単独峰でなく、長い山脈になっていると、こうした現象が良く発生します。水蒸気は、「雲から山の天気を学ぼう|(75)北アルプス南部で見られる雲海のパターン」で説明しましたように、夏場においては平地や河川、湖などに多く、これらが近くにある側で雲が発生することが多くなります。一方、水蒸気が少ない春や晩秋、冬においては海から風が吹いてくる風上側で雲が発生しやすくなります。海の上は絶えず、水分が蒸発しているので水蒸気が溜まっており、海から風が吹くと、その湿った空気が山に運ばれて斜面で上昇させられ、雲ができるのです。

写真2 海側からの湿った空気が作る雲

2.風が強いとき
海からの風が強く吹くと、海から運ばれた水蒸気を含んだ空気が山の斜面を上昇し、雲を作ることは先ほど述べました。風が強いときは、山で雲ができた後、空気は山を吹き降りていきます。空気は下降していくと温められるので、雲は蒸発していき、風下側では天気が良くなることがあります。

図1 海側から風が強く吹くことで天気が異なる仕組み

ただし、水蒸気が多かったり、風が強すぎたりすると、山の反対側まで雲に覆われてしまいます(その場合にも平地に達する頃には雲が消えて晴れます)ので、条件が合わないと山を挟んで綺麗に天気が分かれることにはなりません。したがって、1よりも見られるチャンスは少ないです。

写真3 秋田県側と岩手県側の天気の違い(真昼山地より)

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
※図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

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猪熊隆之(いのくまたかゆき)
国内唯一の山岳気象専門会社ヤマテンhttps://www.yamaten.net/の代表取締役。国立登山研修所専門調査委員及び講師。カシオ「プロトレック」開発アドバイザー。「山の日」アンバサダー。中央大学山岳部前監督。チョムカンリ登頂(チベット)、エベレスト西稜(7,700m付近まで)、剣岳北方稜線冬季全山縦走などの登攀歴がある。近年は、山岳気象を学ぶために、予報依頼の多い山に登っており、2019年にはキリマンジャロ(タンザニア)、チンボラッソ(エクアドル)、コトパクシ(エクアドル)登頂。2022年はマッターホルン(スイス・イタリア)登頂。2023年には、気象予報士として初の8,000m峰(マナスル8,163m)登頂を果たし、2024年、世界最高峰のエベレスト(8,848m)登頂を果たす。また、多くの登山者に雲を見る楽しさを伝えるための「山頂で観天望気」企画を実施。日本テレビ「世界の果てまでイッテQ」の登山隊やNHK「グレートサミッツ」「地球トラベラー」、東宝「春を背負って」など国内外の撮影をサポートしているほか、山岳交通機関、スキー場、旅行会社、山小屋などに配信し、信頼を得ている。
「マツコの知らない世界」、「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」「地球トラベラー厳冬 遥かなる利尻山」「にっぽん百名山」「石丸謙二郎の山カフェ」などテレビ、ラジオ出演多数。著書に、山岳気象大全(山と溪谷社)、山の観天望気(山と溪谷社)、山の天気にだまされるな(山と渓谷社)、山岳気象予報士で恩返し(三五館)。共著に山の天気リスクマネジメント(山と渓谷社)、安全登山の基礎知識(スキージャーナル)、山歩き超入門(エクシア出版)、登山の科学(洋泉社)、天気のことわざは本当に当たるのか考えてみた(ベレ出版)。

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