雲から山の天気を学ぼう|(49)どの方角の空を見ればいいのか?partⅡ ~梅雨編~
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どの方角の空を見ればいいのか?partⅡ ~梅雨編~
前回は、空を見るときは、風上側の空を見ること、特に、春や秋は西の空をチェックすることが空見(そらみ)の基本であることと、日本海側の山では日本海の方向を確認することが悪天を予想するうえで重要であることを学びました。しかしながら、このやり方が通用しないことが多いのが梅雨の時期です。
そこで、今回は梅雨期の空の見方をチェックしましょう。
昨年の6月2日(日)に氷ノ山で空見ハイキングをおこないました。そのときの天気図が図1です。
このときは、南海上に梅雨前線が停滞していました。このように、梅雨前線が南海上にある場合は南側の空をチェックしていきます。前線付近は、天気が悪くなっていることが多く、空が暗くなっています。つまり、南海上に停滞前線があるときは、南側の空が暗くなっていることが多いのです。そして、その暗い空が近づいてくるようだと、前線が北上していることを示しており、天気が崩れていきます。逆に、南側の空があまり暗くなっていなかったり、暗くなっていたとしても(西から東に動いていくなど)近づいてこなければ、天気が崩れることはありません。
さて、この日の南の空を見てみましょう。
写真1 氷ノ山山頂から南側の空を見る
南側の空は暗くなっていることが分かります。一方、北の空はどうでしょうか?
写真2 氷ノ山から北の空を眺める
写真2のように、雲が薄くなっていて巻層雲(うす雲)が主体です。雲が切れて青空が見えている部分もあります。このときは、山頂に向かっていくにつれて、北の空が明るくなっていき、青空も見えるようになっていきました。また、南側の暗い雲も近づいてくる気配はありませんでした。
このようなときは、天気が崩れる心配はなさそうです。
梅雨前線が日本の南海上にあるときは、前線がある方角の空を見ると良いでしょう。
文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
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猪熊隆之(いのくまたかゆき)
国内唯一の山岳気象専門会社ヤマテン http://yamatenki.co.jp/ の代表取締役。中央大学山岳部監督。国立登山研修所専門調査委員及び講師。カシオ「プロトレック」開発アドバイザー。チョムカンリ登頂(チベット)、エベレスト西稜(7,700m付近まで)、剣岳北方稜線冬季全山縦走などの登攀歴がある。著書に山の天気にだまされるな(山と渓谷社)、山岳気象予報士で恩返し(三五館)、山岳気象大全(山と溪谷社)。共著に山の天気リスクマネジメント(山と渓谷社)、安全登山の基礎知識(スキージャーナル)。