雲から山の天気を学ぼう|(30)~機窓からの観天望気 石垣島編 partⅢ~
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~機窓からの観天望気 石垣島編 partⅢ~
いよいよ飛行機は、紀伊半島沿岸へ。すると面白い光景が。
写真1 紀伊半島で発生する雲
上の写真を見ますと、海には雲が全くないのに、陸地に雲があるのが分かります。面白いですね!なぜ、このようなことが起きているのか。それを解明するために、この日の天気図を見てみましょう。
図1 6月29日(金)6時の天気図
等圧線の向きから当日は南寄りの風、熊野灘では海から陸に向かって風が吹いています。
等圧線が込んでいることから風もやや強まっていることが分かります。さらに、北側に梅雨前線があることから、前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んでいることも想定できます。
ここまでを頭に入れて写真1をもう一度見ていただきますと、海上にある水蒸気を沢山含んだ空気が陸地に上陸して、上昇させられます。紀伊半島は山が海にまで迫っているので空気が山にぶつかって上昇させられるためです。この空気は非常に湿っているため、上昇した途端にすぐに雲ができるのです。
海岸線に沿って雲が発生していることから、海の上にある空気はギリギリ雲にならない程度の湿った空気であることが分かります。
さて、飛行機は太平洋の上を進んでいくと、機窓から別の飛行機が。飛行機雲が見られます。
写真2 飛行機雲
昔から「飛行機雲が長く残ると天気が崩れる」ということわざがありますが、このときも飛行機雲が長く残っていました。さて、本当に天気が崩れるのでしょうか?
飛行機が飛んでいる高度は高度10km以上。その高度では水蒸気が非常に少なく、乾燥しているため、飛行機雲はすぐに蒸発して消えていきます。しかしながら、低気圧や台風が接近するなど、上空の空気が湿っていると飛行機雲はなかなか消えません。
ただし、梅雨時や夏場は上空の空気が湿っていることが多く、天候の悪化と無関係なときもあります。
文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
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空気は目に見えませんが、雲は空気の状態を語ってくれています。雲の聞えない声に耳を傾けながら、楽しく山を登りましょう。皆様とご一緒できることを楽しみにしています。
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山の天気を学ぶ机上講座のご案内
ヤマテン主催「山のお天気講座」(東京会場)
大阪、名古屋会場の日程が決定しました!
ヤマテン主催「山のお天気講座」(名古屋会場)
日程:12月8日(土)
初級編「クイズで学ぶ山の天気入門」(午前)
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参加費は、一般の方は3,000円ですが、ヤマテン会員の方は2,000円となります(基礎編、中級編両方をお申込みの方は一般の方5,500円、ヤマテン会員の方は3,500円と、500円割引になります)。
※会場やお申込み方法は開催日の1ヵ月程度前に発表します。
ヤマテン主催「山のお天気講座」(大阪会場)
日程:12月9日(日)
初級編「クイズで学ぶ山の天気入門」(午前)
中級編「冬山の気象リスクを予想するための天気図の活用」(午後)
参加費は、一般の方は3,000円ですが、ヤマテン会員の方は2,000円となります(基礎編、中級編両方をお申込みの方は一般の方5,500円、ヤマテン会員の方は3,500円と、500円割引になります)。
※会場やお申込み方法は開催日の1ヵ月程度前に発表します。
ヤマテン主催「山のお天気講座」(東京会場)
日程:11月23日(金・祝)
初級編「冬山の天気入門」(10:30~12:00)
中級編「地上、高層天気図を使って冬山を安全に登ろう」(13:30~15:30)
参加費用:ヤマテン会員2,000円(初級、中級両方参加は3,500円)、会員外3,000円
講師:猪熊隆之(予定)
会場:東京都北区北とぴあ(JR王子駅前)
参加費は、一般の方は3,000円ですが、ヤマテン会員の方は2,000円となります(基礎編、中級編両方をお申込みの方は一般の方5,500円、ヤマテン会員の方は3,500円と、500円割引になります)。
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※ヤマテンポイントについて
ヤマテンの気象予報士が講師を務める講習会にご参加いただいた皆様にポイントを進呈させていただきます。
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雲を学べる絵葉書11枚入りセット(10ポイント溜まるとGET!)
2018年のヤマケイ登山教室 山岳気象講座の日程が決まりました。
東京会場(アルパインツアーサービス本社) 19時~21時
受講料:2,000円 ヤマテンポイント各1ずつ
講 師:渡部均(わたなべ ひとし)
第7回 10月16日(火)
観天望気~雲から学ぶ天気の基本~
お申込み、お問い合わせはアルパインツアーサービス株式会社へ。
http://www.alpine-tour.com/japan/_j_office.html
http://www.alpine-tour.com/japan/
猪熊隆之(いのくまたかゆき)
国内唯一の山岳気象専門会社ヤマテン http://yamatenki.co.jp/ の代表取締役。中央大学山岳部監督。国立登山研修所専門調査委員及び講師。カシオ「プロトレック」開発アドバイザー。チョムカンリ登頂(チベット)、エベレスト西稜(7,700m付近まで)、剣岳北方稜線冬季全山縦走などの登攀歴がある。著書に山の天気にだまされるな(山と渓谷社)、山岳気象予報士で恩返し(三五館)、山岳気象大全(山と溪谷社)。共著に山の天気リスクマネジメント(山と渓谷社)、安全登山の基礎知識(スキージャーナル)。