遭難|救助要請:救助を待つ

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救助を要請したあとは、その場所が救助を待つのに適切な場所かどうかをいま一度考えてみる必要がある。救助を待つのに適した場所の条件とは、次のとおり。

 

  • 風雨がしのげる
  • ヘリコプターに発見されやすい
  • ヘリコプターへの収容が可能

 

樹林帯のなかは風雨をしのぎやすいが、ヘリコプターからはきわめて発見されにくく、収容も難しい。ヘリコプターレスキューを前提とするのなら、やは り開けた場所の近くで待機しているのが理想だ。もしその場所が待機するのに適していないのなら、条件のいい場所に移動しなければならない。テントを持って いるのなら、開けた場所のそばに張って待機する。近くに山小屋があれば、もちろんそこに避難しているのがいちばんである。

 

救助を待っている間には、事故者の容体をそれ以上悪化させないように最大限の努力をはらおう。現場での応急処置が不充分だったらやり直し、ツエルト やシュラフを使って保温に努めることだ。意識がある場合は、絶えず声をかけて励ますことも大事である。受け付けるのであれば、食事や温かい飲み物を与えよ う。

 

ほかのメンバーに対しては、直面している現実を正確に伝え、事故者が救助されるまでの段取り、救助後の行動予定などを順序立てて話し、希望を持たせ るようにする。ただし、あまりに楽観的すぎる憶測やいい加減な話はしてはならない。また、事故者を不安にさせるような話もしないこと。とくに事故の責任を なすりつけ合ったり叱責したりするのはタブーである。

 

条件さえよければヘリコプターは間もなくやってきてくれるが、悪天候が続いているときなどは救助活動は長期化することになる。事故者にとってはより 厳しい状況となってしまうが、ほかのメンバーはできるかぎりの処置を施して事故者の苦痛を和らげてあげよう。雰囲気も沈みがちになるかもしれないが、とに かく希望を失わないこと。その場で待っていれば必ず助けにきてくれるのだから、みんなで励まし合ってがんばり通すことだ。

事故者が不明のときはどうする?

転滑落した事故者の姿が確認できないときは、警察に一報を入れるとともに、ただちに捜索にとりかかろう。警察に連絡がつかない場合は、最寄りの山小屋などに伝令を走らせ、残ったメンバーで捜索を行なう。

ただし、リーダーはメンバーの安全を最優先させなければならず、二重遭難の危険がある場所では絶対に無理をしてはならない。状況次第では救助隊に捜 索を任せることにするという判断も必要だ。その際には、現場に数人が残って救助隊の到着を待ち、残りのメンバーは近くの山小屋などに退避させておく。警察 の支持があった場合は、それに従おう。

捜索は範囲と時間を決めて効率的に行なうこと。人数がある程度いるのなら、ほかの登山者の誘導や落石の見張りなどを行なうための係を転滑落現場にお くといい。見張り要員は、リーダーの指示がないかぎりその場を離れてはならない。また、事故者を発見した場合の連絡方法(ホイッスルや無線など)もあらか じめ決めておく。

事故者を発見したのちの対応は本章で解説したとおり。最初に決めた時間内に発見できない場合は、それ以上深追いはせず、救助隊と合流してあらためて対策を練ることになる。

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