日本の国立公園の山の魅力|大峰山
吉野熊野国立公園「大峰山」
世界遺産の奥駆の道を辿る山たび
*関東に住む山やにとって、近畿の山はあまり縁のない地域だ。近畿に行くのなら八ヶ岳や北アルプスの方が標高も高く、有名な山がたくさんある。あえて、近畿地方の山に登ることは、百名山を目指す人の他はあまりない。
*わたしが大峰山に登ろうと思った動機は、役小角以来1300年もの歴史を持つ山岳古道であり、世界遺産に登録されたこと。もうひとつはある本で、純白に咲いている大峰山の固有種・オオヤマレンゲが7月に咲く写真に魅せられたからだ。
*大峰山脈は近畿の屋根と呼ばれ、北から修験道発祥の地・山上ヶ岳、近畿地方の最高峰・八経ヶ岳、南部に続く釈迦岳が連なる険しい山で、俗に「大峰七十五扉」と呼ばれる修験道の根本道場が75カ所あった。
さて、7月の初旬、山のベテラン四人がキャンプ道具を満載してクルマで一路東名高速を飛ばして大峰山に向かった。
*和佐又山のキャンプサイトに着き、大きなテントを立てて、焚き火を囲みビールをあおったのは言うまでもない。
*次の日、トンネル横の登山口からしめった空気の森を登る。所々に、行者の奥駆だけあって、石仏や理源大師像などの文化遺産をみながら登ることになる。天狗奥宮の鳥居を過ぎ八経ヶ岳の登りになるとオオヤマレンゲの咲く登山道になる。
*オオヤマレンゲはモクレン属に分類される落葉広葉樹の低木で蓮の花に似ていることから名付けられた。国の特別天然記念物に指定され八経ヶ岳が自生地として有名だ。近年シカの食害で減少していると聞く、大切に後世に残したいものだ。
*大峰連峰の魅力の一つに山たびを癒やす温泉施設が多いのも魅力だ。我々も、クルマで入之波温泉に行き、一風呂浴びて、川魚をつまみにビールを呷ったのは言うまでもない。ビールに始まり、ビールで終わったこの山行、昔の行者は許してくれるであろうか、少し反省。