日本の国立公園の山の魅力|立山

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中部山岳国立公園・立山

立山といえば誰でも知っている人気の山。黒部アルペンルートの利便性と夏でも雪渓が見られる3000メートルの山が連なるダイナミックな景観、高山植物の咲き乱れるお花畑、氷河期の生き残り生物のライチョウとの出会いなど。魅力溢れる立山には外国、特にアジアからの・登山客も多く、国内外含めて年間300万人が訪れている。
近年は、御前谷や内蔵助谷の万年雪の雪渓の中から、国内初の現存する氷河が発見され話題になっている。
本来立山は、1300年前から続く山岳信仰の舞台で、富士山、加賀の白山と並ぶ日本三霊山のひとつで雄大な自然に加えて歴史や文化の薫りも楽しめる山だ。
さらに2014年に「黒部立山ジオパーク」に認定された。ジオパークとはジオ(地球・大地)に関わる地層、岩石、地形、火山など様々な自然遺産を含む「大地の公園」のことだ。
立山登山をしながら、足元の岩石から地球の営みに思いをはせるジオ登山は如何だろうか?
地図上に立山という山はなく、浄土山、雄山、別山の三つが立山三山である。中でも雄山は最も登山者が多い山で、夏の最盛期には登山道に行列ができるほどだ。一方、雄山から一ノ越を挟んでそびえる2831mの浄土山は混雑もなく、ジオ登山に絶好の山といえよう。浄土山は、日本一の落差350mを誇る称名滝の水源の山でもある。

浄土山に登る

登山の起点は標高2450mの室堂、信濃大町からはトロリーバス、ケーブルカー、ロープウェー、バスを乗り継いで、また富山からは富山地鉄、ケーブル、バスを利用して到着できる。ここまでくるとまさに天上の楽園だ。眼前に立山三山がそびえ、みくりが池、みどり池など池が点在するお花畑の室堂平が広がっている。この二つの池も約20万年ほど前に噴火した立山火山の火口湖である。
室堂ターミナルに着いたら、高度に慣れるためにも、隣接する立山自然保護センターに立ち寄り、立山の自然や地形についての事前学習をお勧めする。ハイビジョンの映像や大型のジオラマで立山の豊かな自然について分り易く学ぶことができる。登山中にライチョウやオコジョに出会えたら、帰りにここの受付に目撃情報を報告して、ライチョウシール、オコジョシールをゲットしよう。
浄土山へは登山道が二コースある。一ノ越から雄山と反対方向に南峰めがけて登る道と室堂山から北峰へ突き上げる道だ。雄山登山者と重なる一ノ越経由の路は混雑する上、石畳の広い道なので下山に使うことにして、室堂山からの登山がおすすめだ。
日本最古の山小屋を左に見たら一ノ越への路と別れ、お花畑の中を室堂山へと登る。このあたりにライチョウが見られることが多い。
室堂山展望台からは晴れた日には、かつての活発な立山火山の活動とその後の浸食でできた広大な窪地の立山カルデラを見渡すことができる。
分岐まで少し戻り、小さな雪渓を渡ると大きな岩石が累々と積み重なった急登が始まる。大雨のあとは落石に注意が必要だ。立山火山の溶岩である茶色の安山岩と、立山を作った造山運動で地下深くから上昇してきた白っぽい花崗岩が交互に現れる。それらの岩を慎重に攀じ登るが、高山植物も多く飽きることなく登山道は北峰へと突き上げる。
北峰山頂付近には遺構があるが、天日鷲命(あめのひわしのみこと)を祭っていた芦峅寺立山神社奥ノ院の浄土神社である。さらに進むと南峰に到着、富山大学の立山研究室がある。この前身は日本陸軍の測候所であった。ここまで室堂から約3時間の行程だ。山頂でゆっくり北アルプスの山々の絶景を楽しんだら一ノ越へとざらざらの道を下る。約30分で一の越へ着くと後はよく整備された石畳の登山道が室堂ターミナルへと導いてくれる。
浄土山一山では物足りない人は雄山を往復するとさらに充実した山行となるだろう。一ノ越から二ノ越、三ノ越を経て雄山神社のある山頂までは落石に注意しながら約一時間の急登である。さらに20分で富山県の最高点大汝山3015mに到達できる。

 

富山県側に下山したら、ぜひ立山駅近くにある立山カルデラ砂防博物館に立ち寄ってみよう。室堂山から見下ろした立山カルデラは、日本でも有数の大規模な崩壊地で、常願寺川流域の土砂災害から富山平野を守るため砂防事業が続けられている。博物館では、「立山カルデラの自然と歴史」「砂防」をテーマとして立山の自然そして、人との関わりを紹介している。さらに時間があれば天然記念物に指定されている称名滝見学をお勧めする。

日本山岳救助機構合同会社社員
本木 總子

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