救急法|低体温症

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寒冷下で体幹温度(体の内部の温度)が下がることによって体にさまざまな弊害を引き起こすのが低体温症。最初はふるえやしびれなどの症状が現われ、 進行すると筋肉がうまく動かなくなり、ろれつがまわらなくなったり、なんでもないところでつまずいたりするようになる。さらに重症になると意識が混濁し、 やがては昏睡状態に陥ってしまう。そのままにしておけばもちろん心臓は停止、凍死にいたるというわけだ。

2007年1月、中央アルプスの宝剣岳で単独行の男性登山者が行方不明になり、約3週間後に遺体で発見されるという遭難事故が起こっているが、これなどは低体温症から凍死にいたった典型的なケースであろう。

低体温症の要因である寒さは、気温の低さだけではなく、雨や発汗などによる濡れ、風などによってももたらされる。たとえ夏であっても、標高が高い場所で激しい雨に打たれて体が濡れれば、低体温症に陥る可能性は充分にある。

低体温症の症状が現われたら、風が避けられる暖かい場所に移動し、安静にさせて保温に努めること。近くに山小屋があるならそこに搬送するのがベス ト。なければテントやツエルトなどに収容する。着ている服が濡れていれば着替えさせ、シュラフに入れて身体を温める。シュラフがなければレスキューシート や防寒具、予備のウエアなどで体温の低下を防ごう。水筒にお湯を入れた簡易湯たんぽや使い捨てカイロなどで首筋や腋窩、鼡径部を温めるのも効果的。さらに 温かい飲み物を飲ませるのもいい。ただし、アルコール類やカフェインの入った飲料は血管を収縮・拡張させる作用があるので与えてはならない。また、入浴や 暖房などで急激に温めるのも厳禁。抹消組織の循環が再開して冷たい血液が身体の深部へと流れ込むと、体幹の温度が下がって死亡してしまうこともあるから だ。

それ以上体温を低下させないよう、保温によって回復を図るようにすることが重要である。

もし症状が重い場合は専門的な治療を受けるしか手はないので、早急に救助を呼ばなければならない。

体温が測れない状況下での体温の推定

前兆(36.5~35℃) 意識は正常。手の細かい複雑な動きができない。寒気、ふるえが始まる
軽症(35~33℃) 無関心状態(協力的に見えて協力的でない。まともそうに見えてまともでない)。すぐ眠る。歩行はよろめく。口ごもる話しぶり。ふるえは最大
中等症(33~30℃) 33~32℃…会話がのろい。閉じこもる。意思不明。運動失調

31~30℃

…錯乱状態。支離滅裂。無反応。ふるえ停止。歩行停止

重傷(30℃以下) 30~28℃…半昏睡状態。瞳孔散大。心拍・脈拍微弱。呼吸数は半分以下

28~25℃…昏睡状態。心室細動

25℃以下…仮死状態。腱反射消失

20℃以下…脳波消失。心停止

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