雲から山の天気を学ぼう|(69)虹のようなものの正体は?~神秘的な光学現象~

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虹のようなものの正体は?~神秘的な光学現象~

春は、上空に薄雲が広がることが多く、暈(かさ)などの光学現象が見られやすい季節です。そこで、今回は、数年前のゴールデンウィークに見られた虹のような、不思議な現象について解説していきます。ひとつ目は、比較的良く現れる現象、日暈(ひがさ、にちうん、英名ハロ)です。

写真1 蓼科上空に現れた日暈(ハロ)

空に浮かんでいる薄い雲は氷の粒でできています。この氷の粒に太陽光が屈折する(折れ曲がる)ことによってできます。光は色によって折れ曲がる角度が違うことにより、色が七色に分かれて見えるのです。

詳細は、バックナンバー(46回)をご参照ください。
https://sangakujro.com/%e9%9b%b2%e3%81%8b%e3%82%89%e5%b1%b1%e3%81%ae%e5%a4%a9%e6%b0%97%e3%82%92%e5%ad%a6%e3%81%bc%e3%81%86%ef%bc%88%e7%ac%ac46%e5%9b%9e%ef%bc%89/

ふたつ目は、比較的珍しい現象、環水平(かんすいへい)アークです。2019年4月28日に現れた環水平アークはその帯の太さと言い、色の鮮やかさと言い、長さと言い、最高級のものでした。私もこれだけのものを見たのは初めてです。

写真2 蓼科(茅野市豊平)上空で見られた環水平アーク。これだけ鮮やかで長いものは珍しい。

写真3 桜と環水平アーク。中央部が広がっている。

このように、美しい環水平アークができるのはなぜでしょうか?

空にある薄い雲は氷の粒(氷晶)でできていますが、
1.この氷晶が薄くて水平に浮かんでいる
2.太陽光が薄い氷晶の天面(上の面)から横面(横の面)に抜けて2回屈折する

環水平アークは、これらの条件がそろったときにできます。また、ハロ(暈)と同じように太陽光が氷晶に屈折し、プリズムの原理で色が分かれることによって虹色に見えます。ハロと違うのは氷晶が水平にそろっていないといけないことや、薄い氷晶でないとできない点です。その分、現れる頻度はかなり減少します。

この日はこの2つだけでなく、幻日環(げんじつかん)も見られました。幻日環とは、天頂(観測者の真上にあたる地点)を中心とした太陽を通る光の輪のことです。これも比較的レアな光学現象になります。幻日環は、薄い氷晶(氷の粒)に太陽光が反射して見える現象です。山の上で見る光学現象は、平地で見るよりも空気が澄んでいるので、明瞭で迫力があります。ゴールデンウィーク期間中に見られるといいですね。

写真4 蓼科上空に現れた幻日環

 

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)

※図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

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猪熊隆之(いのくまたかゆき)

国内唯一の山岳気象専門会社ヤマテン http://yamatenki.co.jp/ の代表取締役。中央大学山岳部監督。国立登山研修所専門調査委員及び講師。カシオ「プロトレック」開発アドバイザー。チョムカンリ登頂(チベット)、エベレスト西稜(7,700m付近まで)、剣岳北方稜線冬季全山縦走などの登攀歴がある。著書に山の天気にだまされるな(山と渓谷社)、山岳気象予報士で恩返し(三五館)、山岳気象大全(山と溪谷社)。共著に山の天気リスクマネジメント(山と渓谷社)、安全登山の基礎知識(スキージャーナル)。

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